NotebookLMで社内資料を「根拠付き」で要約する方法|会議前ブリーフ・FAQ作成の実践ガイド

Google NotebookLMに社内資料(PDF/Docs/URL等)を入れ、根拠(引用)付きで要約・Q&A・会議前ブリーフを作る手順を初心者向けに解説。共有運用と社内利用の注意点も整理します。

Google NotebookLMとは何か

Google NotebookLMは、ユーザーが指定した**自分の資料(ソース)を前提に、要約・Q&A・整理文書(ブリーフやFAQなど)を作るためのAIツールです。最大の特徴は、回答の根拠として引用(ソースへの参照)**を示せる設計にある点です(ただし、条件によって引用が省略される場合もあります)。

ビジネス現場では次の課題がよく起きます。

  • 資料が多すぎて、会議前に読み切れない
  • 仕様書・提案書・規程などが散らばっていて、探すだけで時間が溶ける
  • 要約したつもりでも「それ、どこに書いてある?」と詰まる

この記事では、NotebookLMで会議前ブリーフ社内FAQの下書きを作る具体手順、運用でつまずきやすいポイント、社内利用時の注意(権限・共有・情報管理)をまとめます。


前提知識と用語の定義

用語 説明
ソース(Source) NotebookLMに読み込ませる資料(Google Docs / PDF / Web URL など)
ノートブック(Notebook) ソースを束ねる作業単位(案件・プロジェクトごとに分けると管理が楽)
引用(Citations) NotebookLMの回答に付く参照リンク。回答の根拠をたどるためのもの
共有(Sharing) ノートブックを他者に見せる設定。共有するとソースの扱いも含めて運用設計が必要
生成物(Outputs) ブリーフ、FAQ、学習ガイドなど、ソースから生成した整理文書

準備(アカウント・料金・権限・注意点)

必要なアカウント

  • 基本: Google アカウント
  • 企業利用: Google Workspace 環境での利用が管理・統制(共有、権限、監査)の観点で扱いやすい

料金・プラン

NotebookLMには、Workspace向けの提供形態(NotebookLM / NotebookLM Plus)や、Google Cloud側での「NotebookLM for enterprise」の案内があり、機能や価格は変更され得ます。導入判断は必ず公式情報を確認してください。

権限・データの注意点

  • ソースに入れる資料は、社内規程に従い「持ち込み可」なものに限定する(機密区分を確認)
  • 共有ノートブックに機密資料を混ぜると、意図せず閲覧範囲が広がる
  • まずは「個人用ノートブック」で試し、運用が固まってから共有に進めるのが安全

プライバシーの前提

Google WorkspaceのNotebookLMについて、Googleは「アップロードしたWorkspaceユーザーデータでモデルを学習しない」旨を説明しています。社内利用の可否判断では、この種の一次情報(公式のプライバシー説明)を必ず確認してください。


実践手順(コピペ用プロンプト付き)

ここでは「案件Aの提案レビュー会議(60分)」を例に、会議前ブリーフを作ります。ポイントは、最初から何でも聞くのではなく、NotebookLMに**役割(目的)**を与えることです。

Step 1: ノートブックを作る

  1. NotebookLMを開く
  2. 新規ノートブックを作成
  3. 名前を「案件A_提案レビュー(YYYY-MM)」のように、後で検索しやすい形にする

運用のコツ

  • 「部署_テーマ_年月」で統一すると、棚卸しが楽になる
  • 共有する予定があるなら、最初から命名規則を決める

Step 2: ソースを追加する

NotebookLMは複数のソース形式に対応しています(Docs、Slides、PDF、Web URL、YouTube URL、貼り付けテキスト等)。対応形式や上限は更新されることがあるため、社内手順書には公式ヘルプのリンクを添えるのがおすすめです。

追加するソース例(会議前ブリーフ向け)

  • 最新提案書(PDF または Google Docs)
  • お客様要件のメモ(Docs)
  • 過去の失注理由まとめ(テキスト貼り付け)
  • 競合比較の社内Wiki(Web URL)

ソースを増やしすぎると回答が散りやすいので、最初は5〜10個程度から始める

Step 3: 全体像を作る(ブリーフの骨子)

以下をそのまま貼って実行してください(必要なら括弧内を差し替え)。

あなたは「会議前ブリーフ作成担当」です。以下を、このノートブックのソースだけを根拠に作成してください。

要件:
1) 目的: (提案レビュー会議のゴールを1文)
2) 結論(提案の主張)を3行で
3) 重要論点トップ5(それぞれ根拠の引用付き)
4) 不明点/リスク/前提の抜け(根拠が弱い箇所を指摘)
5) 会議で確認すべき質問リスト10個(優先度付き)

制約:
- 根拠が見つからない場合は推測せず「ソースに記載なし」と書く
- 断定ではなく、根拠(引用)に基づいて説明する

狙い: 「論点」と「根拠」を先に揃えることで、会議中に迷子になりにくくなります。

Step 4: Q&Aで突っ込みポイントを潰す

この提案に対して、購買/法務/情報セキュリティ/現場運用の観点で想定される質問を、それぞれ5個ずつ作ってください。

各質問に対し、ソースから答えられる範囲の回答案を作成し、必ず引用を付けてください。
答えられない場合は「現時点のソースでは回答不可」と明記し、追加で必要な資料を提案してください。

Step 5: 社内FAQのたたき台を作る

部門横断で同じ質問が出るテーマ(申請手順、運用、障害時対応など)は、FAQ化すると再利用できます。

このノートブックの内容から、社内向けFAQを作成してください。

- 対象読者: 非専門家(新任担当でも分かる)
- 形式: Q(1行)/ A(5〜10行)/ 根拠(引用)
- 数: 15件
- 禁止: ソースにない情報の補完、推測、断定

Step 6: 引用が出ない・弱いときの対処

NotebookLMは常に引用が付くとは限らず、ソースが短い場合などに「文書全体を参照する」形になることがあると案内されています。引用が弱いと感じたら、次を試してください。

  • ソースを増やす前に、「該当箇所」が含まれる資料を追加する
  • 文章を貼り付ける場合は、必要部分をある程度まとまった長さで貼る
  • 質問を具体化する(「要件定義の範囲」ではなく「要件定義の範囲に"含まれない"ものを列挙して」など)

職種別の活用例

営業・プリセールス

  • 提案書、議事録、要件メモをまとめて「会議前ブリーフ」を自動生成
  • 「この提案の差別化ポイントは何か」「価格根拠はどこか」を引用付きで確認し、突っ込みに備える

情シス・セキュリティ担当

  • ベンダー資料、約款、セキュリティホワイトペーパーをソース化し、評価観点ごとのQ&Aを作る
  • 「どのページに書いてあるか」を引用で追えるため、レビューの説明責任を担保しやすい

人事・総務・法務(社内規程系)

  • 規程、手順書、申請フロー説明をソースにして、問い合わせの「一次回答の原案」を作る
  • ただし例外判断は危険なので、FAQは「規程に書いてある範囲」に限定し、最終判断の窓口を明示する

よくある失敗と回避策

失敗パターン 回避策
便利なので何でも入れて、回答が散る 目的別ノートブックを作り、ソースを最小に絞る(会議/案件/テーマ単位)
「いい感じの要約」だが根拠が弱く、社内で使えない 出力テンプレに「引用必須」を入れる。引用が出ない質問は「判断保留」にする
共有したら、閲覧範囲が想定より広がった 共有前に「含めてよい資料だけで作り直す」。機密が混ざるノートブックは共有しない
FAQを整備したのに更新されず、古い情報が残る FAQ生成は「毎月の棚卸し」に組み込み、更新責任者(Owner)を決める

セキュリティ・コンプライアンス観点

1. データ分類と持ち込み基準を先に決める

NotebookLMに限らず、生成AIは「入力が最大のリスク」です。最低限、以下をルール化します。

持ち込み可

  • 公開情報、社内公開資料、機密度が低い社内文書

原則禁止

  • 個人情報、顧客の機微情報、未公開の契約条件、認証情報、脆弱性情報

2. 共有(Sharing)をガバナンスの中心に置く

  • 「個人ノートブック」と「共有ノートブック」を分ける
  • 共有ノートブックには「共有前提の資料のみ」を入れる
  • 監査や説明責任が必要な部署は、共有ポリシーとログ方針を管理者側で整える

3. 公式のプライバシー説明を社内規程に紐づける

「モデル学習に使われるか」「人手レビューがあるか」などは、導入判断で揉めやすい論点です。NotebookLMについての説明は公式ページに明記があるため、社内のAI利用ガイドラインにリンク付きで固定します。


FAQ

Q1. NotebookLMはChatGPTやGeminiと何が違いますか?

NotebookLMは「自分が与えたソースに基づいて」要約・Q&Aを作る用途に寄せた設計です。汎用チャットよりも「根拠をたどる」運用に向いています(ただし引用が常に理想形で出るとは限りません)。

Q2. 引用(根拠リンク)が出ないことはありますか?

あります。公式ヘルプでは、ソースが短い場合などに、特定箇所の引用ではなく文書全体参照になる場合がある旨が案内されています。

Q3. 社内の機密資料を入れても大丈夫ですか?

社内規程と契約(Workspaceの利用条件、管理者設定)次第です。一般論として、まずは持ち込み範囲を限定し、共有しない個人ノートブックで検証するのが安全です。最終判断は社内ルールに従ってください。

Q4. 何から始めると失敗しにくいですか?

「会議前ブリーフ」用途が最も成果が出やすいです。資料が明確で、評価もしやすく、運用設計(共有範囲)も段階的に作れます。


まとめ:次のアクション

NotebookLMは、社内資料を「速く読む」だけでなく、根拠(引用)を付けて説明するところまで持っていけるのが実務上の強みです。いきなり全社展開するより、次の順番が堅実です。

  1. Step 1: 会議1つを対象に、ノートブックを1つ作る
  2. Step 2: ブリーフと想定問答を、「引用必須」のテンプレで生成する
  3. Step 3: うまくいったら、案件テンプレとして再利用する
  4. Step 4: 共有運用(権限・持ち込み基準・棚卸し)を決めて、部門展開する

参考リンク(公式・一次情報)


※本記事は一般的な情報提供であり、法務・監査の個別助言ではありません。最終判断は社内ルールおよび専門家にご確認ください。