「委託先が勝手にAIを使ってないか不安…」情シス・監査が今すぐ始められるベンダーAI管理4ステップ

委託先の生成AI利用が把握できていない——そんな不安を抱える情シス・監査担当者へ。契約書・質問票・記録管理の3点で、最低限の可視化と説明責任を確保する方法を解説します。

結論:「禁止」より「把握」から始める

委託先の生成AI利用について、最初にやるべきことは禁止ではなく把握です。

契約条項の明確化と簡易な質問票を使えば、最低限の可視化と説明責任を確保できます。


なぜ委託先のAI利用が問題になるのか

委託業務では、次のような事態が実際に起きています。

  • 委託先が生成AIで成果物を作成していたが、発注側は知らなかった
  • 入力データに顧客情報や社外秘が含まれていた可能性がある(設定・契約次第で扱いが変わるため要確認
  • 監査で「どの工程で、どうAIを使ったか」を説明できなかった

多くの企業では、最終責任は発注側にも及ぶ可能性があると整理されています。だからこそ、委託先管理の一環としてAI利用を把握することが重要です。


この記事で使う用語

用語 意味
委託先(ベンダー) 業務を外部委託している相手企業
生成AI 文章・画像・コードなどを自動生成するAI(ChatGPT、Copilotなど)
可視化 状況を文書や記録で確認できる状態にすること

委託先AI管理の4ステップ

ステップ1:契約書に「生成AIの扱い」を明記する

新規契約や更新時に、次の観点を盛り込みましょう。

  • 生成AIを利用する可能性があるか
  • 利用する場合の対象業務の範囲
  • 個人情報・機密情報の入力可否
  • 必要に応じた事前通知や報告義務

厳密な条文が難しければ、「発注者の求めに応じて利用状況を説明する」という一文だけでも効果があります。

ステップ2:質問票で事実を確認する

監査や棚卸しの際は、シンプルな質問票が有効です。ポイントはYes/Noで答えられる形式にすること。

質問例

  • [ ] 業務において生成AIを利用していますか(Yes / No)
  • [ ] 利用している工程はどこですか(設計 / 作成 / レビュー など)
  • [ ] 入力データに個人情報・機密情報は含まれますか(Yes / No)
  • [ ] 出力結果は人が確認していますか(Yes / No)

詳細な説明を求めすぎず、まず事実を把握することを優先しましょう。


ステップ3:リスクが高い委託先だけ追加確認する

すべての委託先を深掘りする必要はありません。次に該当する場合のみ、追加確認を検討します。

追加確認が必要なケース

  • 顧客情報・個人情報を扱う業務
  • 対外資料や意思決定に直結する成果物
  • 再委託(下請け)があるケース

追加で確認すべきポイント

  • 生成AIの出力をそのまま納品していないか
  • 人による確認・修正があるか
  • 問題発生時の連絡・是正手順

ステップ4:記録を残して「説明できる状態」にする

監査で問われるのは、後から説明できるかどうかです。

残すべき記録:

  • 質問票の回答
  • 契約条項の該当箇所
  • 追加確認の結果メモ

これらを委託先管理台帳や監査フォルダにまとめておきましょう。形式は問いません。必要なときに探せることが最優先です。


よくある落とし穴と対策

落とし穴 対策
全面禁止にして形骸化 実態と乖離しやすいため、まず把握を優先
「AIは使っていない」を鵜呑みにする 生成AIの定義を説明してから質問する
海外規制をそのまま適用しようとする 適用範囲は国・契約で異なるため要確認

すぐ使えるチェックリスト

最小限の管理体制を整えるためのチェックリストです。

  • [ ] 契約書に生成AIに関する記載がある
  • [ ] 委託先へAI利用の質問票を配布・回収した
  • [ ] 高リスク委託先を識別している
  • [ ] 生成AI利用状況を説明できる記録がある
  • [ ] 定期的(年1回など)に見直す運用を決めた

参考リンク

※この記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な判断は社内ルールや専門家にご確認ください。