生成AIインシデント発生!最初の24時間で何をすべきか|初動対応5ステップ

生成AIの誤回答や情報漏えいが疑われたとき、最初の24時間で何をすべきか。情シス・リスク管理担当者向けに、現場で使える初動対応手順を5ステップで解説します。

結論:最初の目的は「止血」と「事実整理」

生成AIに関する事故が疑われた場合、最初にやるべきことは 被害拡大を防ぎ、説明可能な事実を押さえること です。原因の特定や再発防止は、初動対応が落ち着いてからでも遅くありません。


なぜ初動対応が重要なのか

生成AI関連のインシデントには、次のような特徴があります。

  • 事実関係(誰が・何を・どう使ったか)がすぐに分からない
  • 出力結果が拡散・再利用されやすい
  • 「AIがやった」という説明では責任の所在が整理できない

このため多くの企業では、従来の情報セキュリティ事故と同様に初動対応を型化 し、判断の迷いを減らしています。


用語解説

用語 意味
AIインシデント 生成AIの利用により、誤情報・情報漏えい・権利侵害などが発生または疑われる事象
初動対応 事故発生直後に行う、被害抑制と事実確認の行動
止血 被害の拡大を止めるための一時的な対応

AIインシデント初動対応の5ステップ

ステップ1:影響が出る利用を一時停止する

迷ったら止める のが原則です。該当する生成AI利用を 一時的に停止 します。

  • 該当アカウントの利用停止
  • 問題のある出力の社内共有・対外公開の停止
  • 委託先が関与している場合は作業中断の連絡

「原因が確定したから止める」のではなく、不確実な間は止める という判断です。


ステップ2:事実関係を最低限で整理する

5Wを完璧にする必要はありません。最初に押さえるべき最小項目は以下のとおりです。

  • いつ発生したか(日時・期間)
  • どの業務で使われたか
  • どの情報が入力・出力された可能性があるか
  • 社内・社外の影響範囲

詳細な技術分析や原因追及は、この段階では不要です。


ステップ3:関係部署を早めに集める

情シス単独で抱えない ことが重要です。AIインシデントは単一部署で完結しないことが多いため、早期に関係者を巻き込みます。

部署 役割
情シス 技術・ログ確認
リスク管理/コンプライアンス 影響評価
法務 外部説明・契約確認
広報 対外発信が必要な場合

早めに共有することで、後からの説明が楽になります。


ステップ4:外部への影響有無を切り分ける

対外影響の有無が対応の分岐点 になります。次の点を重点的に確認してください。

  • 顧客・取引先・一般公開への影響があるか
  • 個人情報・機密情報が含まれる可能性があるか
  • 修正・回収が可能な状態か

対外影響あり と判断される場合、対応は通常のAIガバナンス範囲を超えるため、社内ルールに従った事故対応へ移行します。

※法的義務の有無は個別に確認が必要です。


ステップ5:初動対応の記録を残す

後から説明できること が重要です。初動で行った判断と行動を簡単に記録します。

  • いつ、誰が、何を判断したか
  • 停止・是正した内容
  • 未確定事項(調査中の点)

完璧な報告書は不要です。ただし、メモがないと後で説明が困難になります。


よくある失敗パターン

失敗パターン 対処法
原因究明を最優先して動けなくなる 初動では止血と事実整理が先
「AIが勝手にやった」で終わらせる 利用・管理の責任は組織側にある
影響が小さいと決めつけて共有しない 後から影響範囲が広がるケースがある
海外規制や報道事例をそのまま当てはめる 国内法や契約条件は個別確認が必要

AIインシデント初動対応チェックリスト

  • [ ] 該当する生成AI利用を一時停止した
  • [ ] 最低限の事実関係を整理した
  • [ ] 関係部署に早期共有した
  • [ ] 対外影響の有無を切り分けた
  • [ ] 初動対応の記録を残した

参考資料


※本記事は一般的な情報提供であり、法務・監査の個別助言ではありません。最終判断は社内ルールおよび専門家にご確認ください。