生成AIログ管理の正解は?情シス・監査が押さえるべき記録範囲と4つのステップ
結論:まずは「誰が・いつ・何の目的で使ったか」が分かれば十分
生成AIのログ管理では、すべての入力・出力を保存する必要はありません。 多くの企業では、事故対応や監査で説明できる最低限の利用記録を残す方針を取っています。
理由:ログは「証拠」と「リスク」の両面を持つ
ログを残す目的は、次の2点に集約されます。
- 問題が起きたときに利用実態を説明するため
- 不適切な使い方を抑止するため
一方で、ログを過度に残すと次の懸念もあります。
- ログ自体に個人情報や機密情報が含まれる
- 管理・保管コストが増える
- 取得目的が曖昧になり監査で指摘される
そのため、「残すべき理由が説明できる範囲」に絞ることが重要です。
用語解説(初心者向け)
- ログ:システムやツールの利用履歴の記録
- 監査対応:内部監査・外部監査で説明を求められること
- 利用履歴:誰が、いつ、どのように使ったかの情報
手順:生成AIログ管理を設計する4ステップ
ステップ1:ログの利用目的を明確にする(目的がないログは残さない)
最初に、ログを何のために使うかを決めます。
一般的な目的例
- 不正・事故発生時の事実確認
- 社内ルール遵守状況の確認
- 利用状況の把握(利用者数・頻度)
この目的に合わない情報は、原則として取得しません。
ステップ2:最低限の記録項目を決める(メタ情報を中心に)
多くの企業で検討されている最低限の項目は次の通りです。
- 利用者(社員IDなど)
- 利用日時
- 利用した生成AIの種別(社内環境・外部サービスなど)
- 利用目的の区分(下書き、要約、調査など)
入力内容や出力全文は保存しない方針も一般的です。
ステップ3:保存期間を短めに設定する(無期限は避ける)
ログは残し続けるほどリスクになります。
保存期間の考え方例
- 監査・内部確認に必要な期間のみ
- 他のITログと同程度の期間
- 定期的に自動削除する仕組み
具体的な期間は、社内規程や法令との整合を確認してください。
ステップ4:ログ取得ルールを周知する(こっそり取らない)
ログ管理は、社員の不信感を生まない配慮が必要です。
周知すべきポイント
- 何を記録しているか
- 何の目的で使うか
- 内容そのものを常時監視していないこと
透明性を確保することで、運用が安定しやすくなります。
注意点:生成AIログ管理でありがちな失敗
- すべてのプロンプトと出力を保存する → 情報管理リスクが増大します
- 目的を決めずにログを取る → 監査で説明できません
- 保存期間を決めていない → 不要なデータが溜まり続けます
- 社員に説明せずに取得する → 内部統制上の問題になる可能性があります
すぐ使える:生成AIログ管理 最低限チェックリスト
- [ ] ログ取得の目的を明確にしている
- [ ] 記録項目をメタ情報中心に絞っている
- [ ] 保存期間と削除方法を決めている
- [ ] 社内ルールとして文書化している
- [ ] 社員への周知を行っている
参考(公式・一次情報中心)
- 経済産業省:AI事業者ガイドライン(第1.1版)
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/20240419_report.html - 個人情報保護委員会:個人情報保護法ガイドライン
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/ - 総務省:AIネットワーク社会推進会議
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ai_network/index.html - NIST:AI Risk Management Framework 1.0
https://www.nist.gov/itl/ai-risk-management-framework
※本記事は一般的な情報提供であり、法務・監査の個別助言ではありません。最終判断は社内ルールおよび専門家にご確認ください。