生成AIトラブル発生!そのとき情シス・監査が取るべき初動対応4ステップ
結論:完璧な防止より「起きたときの動き」を決めておく
生成AIは注意して使っていても、誤情報の利用や不適切な出力が起きる可能性があります。多くの企業では、事故をゼロにするより起きたときに慌てない初動対応フローを用意することを重視しています。
なぜ初動対応が重要なのか
現場でよくある困りごとは次の通りです。
- 誤った内容を資料に使ってしまった
- 社内ルールに反する入力を後から発見した
- 誰に報告すべきか分からず対応が遅れた
これらは技術的な失敗より運用設計の問題と見なされることが多いです。特に監査や内部統制の観点では、発生後の対応が整理されているかが問われます。
押さえておきたい用語
- インシデント:ルール違反や事故につながる可能性のある事象
- 初動対応:問題発覚後に最初に取るべき対応
- エスカレーション:上位者や関係部署へ報告・相談すること
初動対応フローを作る4ステップ
ステップ1:対象となる事象を定義する
まず「何が起きたら対応対象か」を決めます。
対象例
- 誤情報を業務判断に使った可能性がある
- 社内ルールに反する入力・出力があった
- 外部に公開した内容にAI生成物が含まれていた
重大事故だけに限定しないことがポイントです。
ステップ2:現場が取る最初の行動を決める
発見者が迷わず動ける行動を明確にします。
初動の基本例
- 利用・公開を一旦止める
- 内容や状況を記録する(日時・利用目的など)
- 上長や所管部署へ速やかに報告する
原因究明より、まず拡大防止を優先します。
ステップ3:対応レベルを分ける
すべてを重大インシデントとして扱う必要はありません。
レベル分けの考え方
- 軽微:内部修正で完結
- 中程度:情シス・リスク管理が関与
- 重大:法務・経営層を含めて対応
判断基準は社内で共有できる簡易ルールにしましょう。
ステップ4:記録と振り返りを行う
対応後は簡単でも構わないので記録を残します。
記録しておきたい項目
- 何が起きたか
- なぜ起きたか(仮説で可)
- ルールや研修で改善すべき点
これがポリシーや教育の見直し材料になります。
ありがちな失敗パターン
-
現場判断で隠してしまう → 小さな問題が後で大きくなる
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責任追及を優先する → 報告されなくなる
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対応フローが文書化されていない → 監査時に説明できない
-
ITインシデントと同一視する → 生成AI特有の論点が抜け落ちる
すぐ使えるチェックリスト
- [ ] 対応対象となる事象を定義している
- [ ] 現場が取る最初の行動を明記している
- [ ] 対応レベルと関与部署を分けている
- [ ] 記録と振り返りの仕組みがある
- [ ] 社員に分かりやすく周知している
参考情報
- 経済産業省:AI事業者ガイドライン(第1.1版)
- 総務省:AIネットワーク社会推進会議
- NIST:AI Risk Management Framework 1.0
- 内閣官房:デジタル社会の実現に向けた重点計画
※本記事は一般的な情報提供であり、法務・監査の個別助言ではありません。最終判断は社内ルールおよび専門家にご確認ください。