いま社内AI勉強会で求められる視点とは
2026年に入り、生成AIは「試す段階」から「業務に組み込む段階」へ明確に移行しています。特に注目すべきは、AIが指示待ちのチャットではなく、業務手順を進めるエージェントとして設計され始めている点です。一方で、入力ミスや情報漏えいを防ぐ**統制(ガバナンス)**も同時に強化されています。社内AI勉強会では、この両輪を押さえることが重要です。
1. Copilotは「文章作成ツール」から業務エージェントへ
Microsoft 365 Copilotは、WordやExcelなどのアプリ内で複数ステップを会話的に進めるエージェント的な使い方が前提になりつつあります。勉強会では、「良いプロンプト」よりも以下の視点が刺さります。
- どの社内データを参照させるか
- 出力結果を誰がレビューし、責任を持つか
- 一発出しではなく、段階的に詰める使い方
勉強会向け問い:「この業務は、どこまでAIに任せてよいか?」
2. Human-in-the-loopが「当たり前」になる
業務向けAIでは、人間の確認を前提にしたHuman-in-the-loop設計が一般化しています。特に以下の業務は、完全自動化が避けられる傾向にあります。
- 対外メールや資料の送信
- 契約・金額・個人情報を含む処理
- 判断根拠の説明が求められる業務
勉強会向けワーク:業務を「自動OK」「人の確認必須」「AI利用NG」に分類してみる。
3. プロンプト入力そのものが管理対象になる
最近の大きな変化は、「AIへの入力内容」自体が統制対象として扱われ始めた点です。具体的には、個人情報や機密情報を含む入力を技術的にブロック、またはマスクする仕組みが実装されつつあります。
ポイント
- 「入力しないでください」という注意喚起だけでは事故は防げない
- 仕組みで止める前提に変わっている
勉強会向け問い:「入力してはいけない情報を、具体的に3つ挙げられるか?」
4. ChatGPTは「連携管理と監査ログ」のフェーズへ
ChatGPTの法人向けプランでは、外部サービスとの連携(アプリ)を管理者が制御し、操作ログを後から確認できる仕組みが整備されています。これは「個人の便利ツール」から「会社が許可する業務ツール」への転換点です。
勉強会で強調したい点
- 便利な連携ほど、データの流れを説明できる必要がある
- 監査ログは「使ったかどうか」より「何に触れたか」を見る
5. 会議AIは最も費用対効果が出やすい領域
Google Meetなどの会議AIは、要約・決定事項・ToDo抽出を自動化し、生産性向上が実感しやすい分野です。一方で、以下の点が社内で問題になりがちです。
- 議事録の共有範囲
- 保存・廃棄ルール
- 誰の発言がどう記録されるか
勉強会向け実践ネタ:「決定事項・理由・担当・期限」の4点だけをAIにまとめさせる。
6. EU AI Actの「AIリテラシー義務」は勉強会の追い風
EU AI Actでは、AIを利用する組織に対してAIリテラシーの確保が求められています。これは日本企業でも、以下の場合に無関係ではありません。
- EU企業との取引がある
- 欧州向けサービスや業務委託がある
勉強会での使いどころ:「なぜ全社員向けにAI勉強会が必要なのか」を説明する根拠になる。
まとめ:2026年の社内AI勉強会のゴール
2026年のAI勉強会は、「便利な使い方紹介」だけでは不十分です。
- 業務のどこに組み込むか
- どこで人が止めるか
- どう統制し、説明責任を果たすか
この3点を議論できる場にすることが、実務で評価されるAI活用につながります。
※本記事は一般的な情報提供であり、法務・監査の個別助言ではありません。最終判断は社内ルールおよび専門家にご確認ください。